押井守監督作品『GARM WARS The Last Druid』のワールドプレミアに行く。

※注意
本文には作品に対する印象が書かれています。
前情報を一切知りたくない方は読まない方が良いかもしれません。


現在開催中の東京国際映画祭。
そこで先日押井守監督作品の『GARM WARS The Last Druid』の
ワールドプレミアが行なわれ、一般公開より一足先に作品が上映されました。
「いつ日本で公開されるか分からないし観られるなら!」と期待と不安が入り混じる中で
上映会場のTOHOシネマズ日本橋まで足を運びました。
公式サイトはこちら

この『GARM WARS The Last Druid』(以下、『GARM』)は15年前に押井監督が
企画した映画『ガルム戦記』をようやく映像化させたものです。
上映前の舞台挨拶では満席のお客さんの前で監督がご自身の想いを語っておりました。
詳しくは各映画ニュースサイトのニュースをどうぞ。

その舞台挨拶で監督はこんなこともおっしゃっていました。
「監督の頭に宿った妄想をそのまま映像化した」と。

実際作品を観てみると、確かにその通りかも! と思いました。
というのも、作品を彩るのは今までの押井監督作品で見た要素が詰め込まれていたのです。
繰り返す状況、鳥を模した戦闘機、銃のような戦車、艦隊戦、
おかっぱ、少女、荒涼とした大地、犬etc……。
そこに現代の現実社会とは全く違う文法で語られる専門用語が連発されます。
とはいってもその用語に関しては作品内で説明されるので分かり辛いということは無いのですが。
そういう世界観に関する要素を除くと「監督が大好きなものに溢れた映画」となっています。

アニメや実写に関わらず、今までの制作された作品にも押井監督が好きなものは入っていました。
今作はそれを一つにまとめて大きくなったものを一気に詰め込み曝け出した映画です。
『GARM』を観て思ったのは、今までの作品は監督が好きなものを切り分けて
それをそれぞれの作品ごとに入れていたんだなぁということでした。
これは推測ですが今までは
「自分の好きなもの・ことをどう手掛ける映画に無理なく溶け込ませるか?」
を考えなければならなかった。しかし今回は徹頭徹尾「押井守監督の世界」。
その世界をどう映像化するかに注力したのではないでしょうか。

物語についてですが、『GARM』の世界の謎といったものに関しては
分かりにくさはあるものの、決して難解なものではないなと思いました。
また、今作はキャラクターのドラマにも焦点を当てています。
主人公は戦闘に特化したクローン軍団の中の一人の女性「カラ」。
このカラというのは冒頭ではまだクローン軍団の一人としてあまり感情が
無いようなキャラクターとして描かれています。しかしある「モノ」に触れたことをきっかけに
笑顔や怒りや哀しみを表現するようになり、群れとは離れて自己を獲得していきます。
女優さんの顔が無表情一辺倒でないところに昔の押井実写作品とは違うものを感じました。
ただ映画は神話を読み聞かせるような形で進んでいきますので、
主人公に感情移入したり共感して作品を観るという方には
相当相性が悪いタイプの類ではあります。

そしてその「モノ」は何かといえば、押井監督作品ではよく見られる生き物です。というか犬です。
バセットハウンドが非生物的な『GARM』の民族とは対照的に、
活き活きと動き確かな生命を持った生き物の象徴として描かれています。
ここにも監督の好きなものに対する熱が感じられます。
とにかく犬(バセットハウンド)が神聖視され、と同時に犬が可愛らしく撮られています。
個人的には今までの押井作品で一番印象に残る可愛さでした。
戦闘部隊の中の人間を犬に喩えたりすることは今までの作品でありましたが、
そのまま犬を重要な要素として使うのは『イノセンス』以来でしょうか。
でも入れ込み具合はアレ以上な気がします。
また犬かよぉ!」と思われる方、なんかすいません。

映像に関してですが、ハッキリいって完成度の高いCGを観る作品ではありません
観た人の中にはこれにガッカリされる方、多分いたんじゃないかなぁと正直思います。
ただ大きいスクリーンで観たのが良かったのか、
色を強調した映像や広がる大地の雄大さは印象に残りました。川井憲次さんの音楽も良いです。
個人的にはCGを見るというよりも『GARM』世界を形成する美術、ガジェット、兵器、自然
楽しませていただきました。もう一回それらを観る為にソフト買っちゃう予定です。うはは。

役者陣はランス・ヘンリクセン大活躍。お爺ちゃん好きな方必見。
個人的には「スケリグ」を演じた俳優が『リアル・スティール』に出てた印象に残る
悪役を演じてた方だと知って驚きました。この人が実写版バトーで良いんじゃないかな。

押井監督作品を全く知らない人が観たら「何だこれは……」と思えるような世界に
放り込まれるような感覚に襲われることは必至の作品です。
それはいつものことかもしれないですが、その放り込まれ具合が今まで以上に強烈
還暦を過ぎてもこういう作品を撮るってのはある意味凄いですね。

いつ公開されるのかは分かりませんが、
単館で良いので大きいスクリーンで上映して欲しいなぁと思いました。
興味のある方は是非どうぞ。小説版はいつ出るだろう。




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