『GARM WARS ガルム・ウォーズ』が遂に公開し、実写三作品も公開済になりました。

押井守監督がカナダまで行って撮影し、
2014年に上映された『Garm Wars: The Last Druid』。
二年の時を経て、『ガルム・ウォーズ』というタイトルで、遂に日本で公開されました。
宣伝プロデューサーをスタジオジブリの鈴木敏夫さんが担い、
広く観てもらう為に声優が吹き替えた日本語版も制作。気合入ってますねぇ。
公式サイトはこちら

私は以前、東京国際映画祭でプレミア上映された時に、本作の原語版を鑑賞していました。
その時の記事がこちら。
押井守監督作品『GARM WARS The Last Druid』のワールドプレミアに行く。
日本では一度観たこの原語版よりも日本語版の上映が多いようで、
「一体どんな風になっているんだろうか……」という興味もあったので、今回は日本語版を鑑賞。

登場人物達の口から専門用語がバンバン飛び出ることは変わらないのですが、
観る側の受け取り方がこんなに違うものか、と少し驚きました。
使う感覚の違い、とでもいいましょうか。
原語版は耳で英語を聞きながら目で日本語字幕の専門用語を見て、
日本語版は耳で日本語の台詞に混じった用語を聴く、という感じ。
映像に集中しやすいのは、どちらかといえば後者の方ですかね。
その分、専門用語についてある程度知っておかないと、イメージしにくいですけれども。
字幕だと漢字が使われるので(例えば「のうかく」なら「脳殻」)、
何となく想像はつきやすいかもしれません。

で、改めて作品を観たんですけどね。
正直、作品全体に対する感想は上記の記事とそんなに変わらなかったです。
ただ、この作品の好きな点がどこか? は自分の中で浮き上がってきました。
1つは、世界観。
あの世界を形成するありとあらゆる要素は、やっぱり自分のツボを突くものばかりでした。
特に今回は主人公の「カラ」を筆頭にガルム達が着ている衣装に注目して観ましたが、
カラの戦闘服は、1つ1つの織模様が細かかったですね。
あと映り方によって、衣装の模様の見え方がちょっと変わったりしたような。

そしてもう1つは、カラの成長物語。
以前書いた記事では
「ただ映画は神話を読み聞かせるような形で進んでいきますので、
主人公に感情移入したり共感して作品を観るという方には
相当相性が悪いタイプの類ではあります。」なんて書いてますけどね、
今回の日本語版はむしろ感情移入というか、
滅茶苦茶肩入れしまくって観てしまいました。
「ウィド」とかいう爺さんにそそのかされて群れを離れることになってしまったけれど、
神聖な存在たる「グラ」に恩寵を受けたことで感情が芽生え、
自分の生まれに疑問を持つようになり、自意識の芽生えへ繋がっていく。
まるで1人の子どもが生まれ、育っていくような過程ですよ。
一緒に旅する「スケリグ」とのやり取りも初々しくて良いですね。
なのにカラの生きる世界はガルム達の進化を止め、そもそも進化を良しとしない。
そして進化を止めることが出来るのは、グラとはまた別の神聖な存在な訳で。

つまり、カラは2つの神聖なるモノの狭間で揺れ動く存在になってしまったんですね。
大地を這うように歩くグラと、カラが見上げる先のモノがある場所、上と下の間に挟まれた女性。
しかもガルムはそんなに長くは生きられない運命。これでどうしろというのか。

なんて風に考えてしまったのは、日本語で台詞が吹き替えられたからでしょうかね。
それとも最初に観た時よりも冷静に鑑賞することが出来たからでしょうか。
とにかく、カラが良かったです。

映画の続編的な物語は『GARM WARS 白銀の審問艦』に続いて行く……んだと思っています。
世界観の描き込みやそれぞれの部族の描写は、やっぱり小説版が充実しています。
これ読んでから映画観るのもアリかもしれないですね。感想はこちら。
GARM WARS(ガルム・ウォーズ) 白銀の審問艦』を読む。/2つで1つのGARM


『ガルム・ウォーズ』が公開されたことで、
押井監督が同時期に撮影した実写三作品が全て公開されました。
撮影順は『ガルム』→『TNGパトレイバー』→『東京無国籍少女』なんですけどね。
つまり『ガルム』の反省を『パトレイバー』、『パトレイバ―』でやり残したことを
『東京無国籍少女』で果たしたことになります。
『ガルム・ウォーズ』が「『自分』を見つけるまでの話」、
『TNGパトレイバー』が「自分のことはよく分かってるからこそ、自分の居場所を守ろうとする話」、
『東京無国籍少女』が「『自分』を思い出すまでの話」のように個人的には感じました。

『ガルム』がいつかソフト化したら、撮影順に観てみるのも良いかもしれないですね。
そしてこれら3作で培ったノウハウを隅々に活かした実写作品(あくまでエンタメ路線の)の新作を
観たいです。そんな日が来るのだろうか、果たして。

パンフレットや雑誌のインタビューを読むと色々製作で苦労したのかなというのが
文章からも伝わってきて、お疲れ様です、という気持ちです。
興味がある人は是非どうぞ。
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