映画『貞子 VS 伽椰子』観た。

『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』シリーズや、
近年だと『ある優しき殺人者の記録』『殺人ワークショップ』と、
尖ってる作品を世に送り出している白石晃士監督。
そんな監督の新作でしかも大作レベルの上映規模を誇る『貞子 VS 伽椰子』を鑑賞。
公式サイトはこちら

霊媒師が複数登場して、そのうちの1人が確かな実力を持つ人物という設定は、
同じ白石監督作品の『カルト』を連想させる。
その『カルト』が1人の霊媒師の清々しいまでの最強っぷりを見せてくれるのに対し、
本作では実力派霊媒師「経蔵」の目立った活躍はそこそこ、
むしろ映画の目玉ともいえる貞子と伽椰子の対決のお膳立てに注力する。
2人の有名キャラクターの対戦カードを実現させる為に
ひた走るプロモーターのような印象を抱いた。
で、書いていて思ったのですが、そもそも『カルト』は
3人目の霊媒師が切羽詰まった状況を打破する訳で、
本作は2人(女の子と男の2人で1セットと考えてます)までしか登場しないんですよね。
やはり石原さとみ(『貞子3D』で貞子と激闘を繰り広げた伝説の貞子狩り)さんを
呼ぶべきだった……。

経蔵が登場するまでの映画前半は真っ当なJホラーとして物語が展開していく。
前半パートの恐怖演出は、良くも悪くも普通という印象でした。
大きい音で驚かせるというよりも床のきしむ音、
何かが画面に映り込むといった不穏さで雰囲気を盛り立てていくのは好感。
一方でこれまでの白石監督作品で観られたような恐怖演出があまりなく、
個人的には本作の宣伝として放送された『生でコワすぎ!』の
ホラー演出の方がハラハラしたのが正直なところ。

とはいうものの、印象的な演出が全くないという訳では無く、
自分の中でグッときた恐怖演出を3つセレクト。
(1)音
貞子による呪いが始まる合図として、呪いを受ける人間は
ハウリングに似た音を聴くことになる。
この音を劇場で聴くと、音が移動しているかのように感じられた。
ある一方向から聞こえ始め、頭の周辺を回っていくような感覚。
劇中の登場人物が両耳を抑えたくなるのも納得。

あとは恐怖演出とは少し違うかもしれないが、伽椰子の声。
ゴジラの鳴き声が聞こえてきて「待ってました!」となるような、そんな昂揚感を抱かせる。
完全に怪獣映画の楽しみ方になってしまっている気がしないでもないですが。

(2)俊雄
ネタバレになるので詳細は伏せるが、本作は容赦なく人が死んでいく。
特に伽椰子とセットで登場する俊雄がかなりの活躍(?)を見せてくれる。
俊雄が登場するパートはかなり力が入っているように見えて、
「(この映画を観に来た)子どもにトラウマを与えてやる!
と監督は決意していたんじゃないかと思うくらいにエネルギッシュ。
俊雄の姿を見て私が思い浮かんだのは『必殺仕事人』。幽霊と仕事人がどう結び付くのか? は
是非とも劇場で観て欲しい。本当にこんな仕事人いそう。

(3)呪いのビデオ
ビデオなんてもうずっと昔のメディアになってしまった気がする現代。
そんな世の中で白石監督はもう一度、ビデオの砂嵐に潜んだ恐怖を復活させたように思う。
スクリーンに映る、ノイズ混じりの映像。
フィックスカメラの呪いのビデオの映像に怖さを感じつつ、「お帰り」という気持ちにさせてくれた。
……恐怖演出とは、また違うでしょうかね?

本作の「貞子 VS 伽椰子」という異なる世界の存在同士を戦わせるまでの流れは、
経蔵の存在を受け入れられるかどうかで、賛か否に分かれると思う。
彼が映画の便利キャラとして動いている部分が強い。
その分「なぜ2人を戦わせなければならないのか」という理由は
考えられており、そこでバランスを取っている印象。
試合が開始した時点で経蔵というプロモーターの役割は半分終わり、
後は試合を盛り上げるアシストをするのみ。
だからこの男、頼れるようで実は全く頼れない。
とはいえ彼とパートナーである少女「珠緒」とのタッグは観ていて面白く、
この2人を主人公とした前日譚が観たいものだ。

貞子と伽椰子は、お互いの得意技を駆使して文字通りぶつかり合う。
その結末はどうなるのか? それは実際に観ていただきたいのだが、
白石監督が自身の作品で今まで描いてきた映像の
お金と手間が掛かったバージョンが観られて、個人的には満足。
ただしインパクトがあったかというと、予想の範囲内に収まった感じもする。

役者陣は『ヒメアノ~ル』に続いて佐津川愛美さんがかなり良い。
やっぱりこの方も日本映画界を引っ張っていく1人ですよ。
改めてそう感じるほどの身体の張りっぷり。
激しさは『コワすぎ! 劇場版・序章』の久保山智夏さん、
恐ろしさは本作の佐津川さんでしょうか。
全体的に登場人物が生きることも、死ぬことも、
絶望することすら全力なのが観ていて気持ちが良いです。
「死んでしまうかもしれない……じゃぁ、何をすればいい?」という行動の速さ。
この人物造形も白石監督作品らしさなのかもしれないですね。

複数人でワイワイ観るには良い娯楽作になっているかと思いますので、
興味があれば是非どうぞ……というか、
お金の掛かった白石監督作品がまた観たい! 
なので是非一度鑑賞を!

以上。
スポンサーサイト

theme : 映画感想
genre : 映画

comment

管理者にだけメッセージを送る

プロフィール

ヤギメロ

Author:ヤギメロ
映画とか本とか、色々好きな者だす。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード