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実写版『咲-Saki-阿知賀編episode of side-A』を観たのでその感想を。

新宿バルト9にて実写版『咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A』観賞。
原作はヤングガンガンにて連載中の麻雀漫画『咲 -saki-』の外伝漫画であり、
こちらは月刊少年ガンガンで連載されていました。現在は完結済です。
『咲 -saki-』本編が麻雀に青春を賭ける女子高生達が
全国大会優勝を目指す物語であると同様に、
『咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A』(以下、『咲 阿知賀編』と略称)も
全国大会優勝を目指します。

しかし登場人物達の目標はそれだけでありません。
子どもの頃に一緒に麻雀をし、転校によって離れ離れになっていた友達が、
成長しても麻雀を続けて活躍していたのです。
彼女ともう一度麻雀を打ちたい、全国大会の舞台で! 
この想いを胸に麻雀に臨みます。
そしてその「友達」というのが
『咲 -saki-』(以下、『咲』と略称)本編に
登場する主要登場人物の1人なのです。
それが『咲』と『咲 阿知賀編』の作品の関係性ですね。
副題の「side-A」ってのは本編を観ていただければすぐに分かります。

先述した『咲』の実写版は2016年に公開されました。
それが好評だったからこそ今回の
『咲 阿知賀編』の実写化に繋がった……と考えています。
私も原作未読なのにSNSでの評判が良かったので足を運び、
その内容に満足した1人ですので。
その時の記事はこちら
この記事も2017年初更新だったというね。という訳で2018年初更新だよ。

前作の映像展開を踏襲し『咲 阿知賀編』も
ドラマ4話(と、特別編1話)に映画1本となっております。
ちなみに『咲』の時と同じように本作の原作も私は未読……という訳でもなく、
一応1話は読んでます。『咲 阿知賀』編の連載当時に少年ガンガンを
購読していたんですよね。
作画担当の方が『バンブーブレード』という
私の大好きな剣道漫画でも絵を担当していたので、
少し気にもなっていました。
そのままガンガン買わなくなって1話以降は全くよく分からないので、
ほぼノータッチといえばノータッチなのですが。
(『バンブーブレード』もまた映像化しねーかな……)

ドラマ版は前作同様に麻雀を通して
瑞々しい青春映画のような物語が展開される訳だが、
本作で印象的なのは「過去」を強調していることだと思う。
もう戻ることはない過去、楽しさに溢れていた過去。
その過去での出来事を胸に大会を目指す人。
一方で、哀しい過去を持つ人もいる。けどその人にとって哀しい過去が、
人生の一部を形成したといってもいい人もいる。
様々な過去を抱えた人達が集まり、
過去の出来事を胸に前向きに未来を作り出す戦いに挑んでいく。
そんな物語を紡ぎだしていくのが『咲 阿知賀編』のドラマシリーズだ。
時計の針の音が大きく聴こえ始め、
時間が再び動き出すように感じられる演出が、非常に印象的。
そしてドラマの本編最終話にあたる奈良県代表選考大会で
主人公達の前に立ちはだかるのは、
毎年全国大会に出場している強豪の麻雀部。
つまり彼女達もまた「伝統」という過去を背負って戦っている。
勝つのは思い出か、伝統か。
切なさも熱さも含んだドラマシリーズになっております。

映画版は全国大会の1回戦から準決勝までの主人公達の戦いが、
他の出場校の物語も描かれながら展開していくという構成。
その中で各校が大会に臨むまでの様子を追った回想も
差し込まれていきます。これらの流れは前作の構成と同じ。
少し異なるのは前作の映画版が1日の物語だったのに対し、
本作は数日間という時間があること。
だから主人公達の初挑戦→挫折→復活の過程も
物語展開の中に取り込まれています。

前作『咲 -saki-』映画版は「手」が印象的な映画だった。
その手で牌を扱うのはもちろん、手を繋ぐ、指きりで約束する、
何かを手渡す、頭を撫でる、ガッツポーズ。
手を使った様々な行動や動きが、
登場人物達の近距離的な関係性を
強調しているように見えて印象的だった。
今回の『咲 阿知賀編』映画版も手を使ったアクションは
当然あるのだけれども、
それ以上に強く心に残ったのは「距離」の要素だ。

映画には沢山のキャラクターが登場し、
多くの人々はそれぞれ2人1組という括りで分けることが出来る。
その2人は多くの時間、離れた位置関係を保つことになる。
全国大会という大きな戦いの場に1人で赴く者と
それを控室から送り出すことしか出来ない者、
という状況は当然ながら、一方が会場にいられなくなり、
もう一方が相手を心配しながら試合で戦うといった特殊な状況もある。
そんな状況下で描かれるのは各関係の両想いや片想いだ。

ある人は憧れの人を想い、その人の試合スタイルを模倣する。
ある人はジンクスを守ることで、
もう会えない人を想う(それによる弊害もある)。
ある2人は自分が着ている上着を交換する。

様々な形で提示される相手を想い、互いを想い合う姿。
たとえ離れたところにいても、
何かの要素を通してならば相手の存在を感じることが出来る。
そんな2人の姿が今回の映画では私の心に強く残った。
それは『咲 阿知賀編』の主人公達の挑戦の始まりを
彷彿とさせるようであり、前作『咲』にも
どこか通じるように感じられる。
(そして強い絆を持つ人々が各校にいる中、
強敵として立ちはだかるのが、
一個人が独立している色が強いチームというのも
興味深い対立構造だなと思いました)

離れても簡単に打ち消せない関係性が描かれると同時に、
ドラマシリーズで前面に打ち出されていた過去の出来事から
起因する人間関係も併せて乗っかって来るので、
切なさが二倍増しといいますか、
切なさダブル役満の味付けとなった青春映画となっています。
113分という枠の中でこんなに様々な相互関係が
描かれている作品も中々無いような気がする。

実写版しか観てない自分が書くのも何ですが、
『咲』の魅力って特殊能力を使った
麻雀バトルの面もあると思います。
麻雀版『キャプテン翼』といいますか、
『イナズマイレブン』といいますか。
今回の『咲 阿知賀編』は前作以上に
見た目も能力も突飛な特殊能力が登場するのですが、
VFXを効果的に使ってそれらを描写しており、
中々楽しい映像になっています。
VFXって観たことも無い映像を見せるのに最適なだけでなく、
VFXでこんな表現をするのか!
という驚きを与えるのにも適しており、
本作はそれに満ちていたように思えます。
で、そんな特殊能力を如何にして攻略・対策して戦うのかも
前作以上に描かれているので、その戦いの行方も楽しい。
特に配牌や牌を捨てる時の牌が卓に置かれる音が
強調されているように感じ、いつ何かが起こるか分からない
サスペンスの雰囲気も出ていました。

役者陣は全員素晴らし過ぎて、
誰かが物語の関係上「退場」や「敗北」していく度に
心がくすぐられるような感覚が襲ってきますが、
特に準決勝先鋒戦や大将戦は名場面の嵐。
もちろん他にも細かい部分で良い場面がありますが、
挙げたらきりがありませんのでこの辺で。
ただ1つ書かせていただきますが、
先述した主人公達の
「初挑戦→挫折→復活の過程」の先にある「覚醒」は、
静かながらも圧の迫力が素晴らしかったです。
それと何人かの方々が映像を早回しせずに
高速で自分の牌を並び替えていて、
この作品に登場する役者さんたちは
相当トレーニングを積んだのだなと確信いたしました。

前作の良かったところを進化させ、
新しい部分もちゃんと提示し、
切なさと熱さを兼ね備えた青春映画です。
個性的なビジュアルやキャラクター付け、
特殊能力に少し驚くかもしれません。
しかし本質は決意と信念に満ちた人達と、
過去を乗り越えようとする人の戦いのドラマです。
出来ることならドラマ版から観ていただきたいですが、
自分は前作を映画→ドラマの流れで観ましたし、
それもアリかと思います。興味があれば是非どうぞ。
そしていつまでも完結編を待ちます。
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