『おおかみこどもの雨と雪』を試写会で観て……。

さる7月上旬。『おおかみこどもの雨と雪』の試写会に当たったので友人と
観に行きました。最初は「118分なっげえ!」とか前情報もそんなに仕入れて
なかったのでどんなもんかと思ってました。
ネタバレあり感想書くんだったら、公開日以降にやった方が良いなと思い
今日あげることに。公式サイトはこちら

more......」からネタバレありです。


最初、ナレーションで「おとぎ話のような話かもしれないですが」
といったことが語られます。その言葉で分かるように、この作品は
リアルな世界で起きた御伽噺と考えて観た方が良いと思います。
この映画で中心的に描かれるのは「アイデンティティの確立」と「親離れ」だと
私は思いました。前者は女の子の「雪」、後者は男の子の「雨」です。
この二人(二匹?)のそれぞれそのテーマの物語が展開されていきます。
そしてそんな二つの物語が始まるまでの土台作りというか、
ある意味で序章的な役割になるのがおおかみこども達のの母親である
「花」の物語だったのではないかと。

映画序盤では彼女が恋をし一緒になる「おおかみおとこ」との出会いから
その別れまでがテンポ良く描かれます。
ここでちょっと思ったのが、時折入るナレーションが多すぎたようなということです。
状況説明だけならまだ良いのですが、時々「花」の心情さえも語ってしまう部分がありました。
このナレーションは、成長した娘の雪が花から聴いた話を私達に語っている、
という形をとっています。だから「~と思ったそうだと母は言っていました」と語るのは
間違ってはいないのですが、別にナレーションが無くても映像で分かるように出来ているので、
そこがクドく感じてしまいました。
しかし上に書いたようにこの映画は御伽噺のようなものなので、絵本の読み聴かせを
聴いていると思えば別に問題無いような気もします。

子どもを産むということは、そこに到るまでの過程をどう描くのか少し興味がありました。
それを多少ボカしているとはいえ、ちゃんと描写しているのは正直感心しました。
とはいえ、子どもの出産描写には疑問が残ってしまったり。
というのも、花とおおかみおとこは自宅で出産することを決める訳です。
その理由として、産まれた時に子どもが狼の姿かもしれないし、
その場合医者が驚くかもしれないからということだから。
そこはまあ納得出来るんです。
が、しかし。かといって助産師無しで出産を試みるというのはどうなのかと。
結果的に上手くいきましたが、あまりにも危険な行為なのではと思いました。
まあ二人には頼れる人間がいないってことは分かります。
けどやっぱり危ないと思うし、それなりの覚悟も必要なのではと感じました。
そんな危険な行為をやるという覚悟が描かれていないので、
「あ、二人だけでも出来るもんなんだなぁ」とちょっとガックリ来てしまったり。
二人本好きだし、本で読んだ知識を基に頑張ったんですかね?
でもその後本で読んだ知識で農業をやろうとして
何度も失敗するシーンあるんですよね……。
この作品は母親とその子ども達の物語なんですし、
その家族の始まりはしっかりと描いた方が良かったのではと個人的に思いました。
妊娠するきっかけを現実的に描いているのにここが欠落しているのはちょっと違和感。

花とおおかみおとこ関連で印象に残ったのは、おおかみおとこの死でした。
花にとっては愛する夫とはいえ、人間達からしてみれば動物の狼。
死んだ彼の身体を処理する方法は普通の考えからすれば間違ってはいないのでしょう。
しかし花の物語を知る私たちはそこに冷徹さを感じるのです。
その辺りの演出は見事だと思いまして、鳥肌がたちましたね。

雪と雨が生まれてからしばらくして、3人は富山に引っ越すことになります。
そこからの物語で私が好きなシーンは、花達が農業を試行錯誤を繰り返しながら
やっていく部分です。失敗を繰り返しながらも最終的には「韮崎」という老人に
耕し方を教えてもらい、畑を拓いていくシーンが良いんです。
段々と近所の人達とコミュニケーションをとっていくのも良かったです。
付き合いを考えながら畑を耕していくって、大変ですね。

雪と雨が小学校に入学してからは
(あんましお金が無いらしいのに入学出来たのは驚きましたが。
韮崎のお爺ちゃんが援助してくれたってことで良いのかな?)、
二人の子ども達の物語がいよいよ展開し始めます。
どちらかというと個人的に印象に残るのは雨の物語でした。
子どもの成長物語として大事な要素である「親離れ」を雨が担っているからです。

雨は子どもの頃、非常に内向的な性格でした。
その雨が山の中で森の長老であるきつねの「先生」に狼としての生き方を覚えていき、
立派に成長していく。その成長具合に驚かされます。
そして彼は最後、狼として一人前になり、山へと消えていくのです。
その時の花との別れは非常に悲しいものなのですが、
雨が丘の上で吼え、そして佇む姿と雲間から見え始める夕陽の二つが描かれるシーンは、
とても美しいものだと思いました。

しかし、雪の話も決して悪い訳ではありません。
小学校に入学してからしばらくして、雪は他の女の子と同じように
淑やかになろうと努力します。
けど、転校して来た「草平」との出会いといざこざをきっかけに、
狼でありながら人間でもある自分の境遇に迷うようになっていくのです。
最終的にはその草平のおかげで、自分が何者であるかということも受け入れていきます。
結局草平はどうなったのか、雪と彼との関係は? そこは描かれませんでしたが、
メインじゃないのでご想像にお任せしますということで。きっと良い関係になるのではないかと。

なぜ私が雪よりも雨の方が印象に残ったかといえば、
それは雨の結末が映画のクライマックスとして描かれていたからだと思います。

ではなぜそれをクライマックスに持ってきたのでしょうか。
推測ですが、彼らは人間でもあるが同時に狼でもあります。
そんな特殊性と、そしてそれ故に起こる別れを私達に観せたかったのではないでしょうか。
実際そこで私は感動しましたし。

色々と「どうなんだろうなぁ」と思う部分もあるっちゃあります。
しかし親子の半生は激動でありながら微笑ましく、最後は感動出来ます。
雄大な自然の風景は美しく、縦横無尽に動き回る小さい頃の雪や雨は魅力的。
大変な中でそれでも笑顔でい続ける母親としての花を応援したくなるし
(ちょっと超人的すぎる気もしなくはないですが)、
亡き夫や子を想う姿に元気を貰える。
そんな親子の生き様を温かい目で観ることが出来る、良い映画だと思いました。
興味があれば是非どうぞ。



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