桐島が部活辞めたらしいので、映画館行ってきた。/『桐島、部活やめるってよ』

原作の名前は知っていましたが、読んだことはありませんでした。
それが映画化されることになり、原作を読んだ知り合いに「どんな話?」みたいなこと
聞いたんですよ。そしたら原作未読者からしたら驚くべき返答が返ってきました。
なんとタイトルになっている「桐島」は一切出てこないというのです。
話としては男子バレー部のキャプテンが突然部活を辞めたことをきっかけに
周りの生徒に色々変化が起きるというもの。
パーマネント野ばら』という良い映画を撮った吉田大八監督の
最新作ということで、観に行ってきました。
公式サイトはこちら


以下、「More...」から若干ネタバレありです。


学生にとって、学校というのは私達が生きている世界とは別の、
もう一つの世界だと思うんですよ。高校生にとってはそれが特に色濃い気がします。
そこで色々な学生達が自分と似た部分を持つ人と集まって、一つのグループを
作っていくのではないでしょうか。もしくは部活に所属することで
そうしたものを作っていく。世界に様々な社会があるように、
学校には様々なグループが存在している。
そんな様々なグループの人間が「桐島がバレー部を辞めた」という出来事を
きっかけに右往左往していくのがこの『桐島、部活やめるってよ』という作品だと思います。

桐島がバレー部を辞めまるで跡形も無く消え去ってしまったかのようになったことで、
それまでとることは無かったであろう行動を周りの人間がとっていきます。
それが行動をとった人間の心や人間関係に影響を与えるきっかけになっていくのです。

主要登場人物の一人「菊池宏樹」を例にとると……
彼は野球部のユーレイ部員で、部のキャプテンに会う度に試合に出るよう言われるのですが
なかなか行こうとしません。部活動にも参加せず毎日友人二人と放課後バスケをしています。
なぜバスケをしているかというと、三人は友人である桐島と一緒に帰るため、
彼のバレー部の練習が終わるのを待っているのです。ただの時間潰しな訳ですね。
しかし桐島がバレー部を辞めたことで、それをやる理由も無くなってしまいます。
それによって菊池はいつも帰る時間より早めに、そして一人で帰宅します。その途中で、
野球部のキャプテンが公園で素振りの練習をしているのを目撃するのです。
それが野球部に所属していながら練習に行っていない菊池の心を戸惑わせます。
ちなみに菊池宏樹は主要登場人物の中でも深く物語に関わっていくので、彼の姿に注目です。
彼女もいるしスポーツも勉強も手堅くこなせる傍からみると普通のイケメン。
しかしそんな彼にも悩みがある。
それが浮き彫りになっていきどうなっていくのか、物語の主軸の一つです。

他にも桐島の彼女が彼と連絡がつかなくなってイライラし始めたことで、
彼女の友人関係に変化が起き始めていきます。
先に書きましたが、そうした学生達の右往左往がとても面白いです。

桐島の周りにいる学生達は所謂「イケてる男子・女子」です。
この映画ではそんな人達とは全く対照的な学生にもスポットライトを当てています。
それが映画部に所属して映画制作をしている「前田涼也」です。
神木隆之介演じる前田は冴えない感じと地味な感じの両方が出ていて良いです。
同じクラスで気になる女子「東原かすみ」(橋本愛が演じる)と偶々映画館で会って
会話しただけでウキウキする姿に思わず共感してしまいましたよ。
といっても、話している内容が完全に前田の独りよがりな感じ
そこが胸をズキズキさせてくれます。
その後彼に待ち受けている「まぁそりゃそうだろうなぁ~」な展開には
恐らくガックリきている前田とともに私もガックリきました。
でもあんな可愛いし、そりゃそうなんだろうな……(これで察する人もいると思いますが)。
しかし東原自体は結構良い子ってことが映画の全部を観ると分かってくるので憎めないです。
何より何度も書きますが、演じる橋本愛が可愛いです、はい。

前田は冴えなさと地味さが出ている男子ですが、
それでも撮りたいものを撮ろうと頑張る姿がとても良いです。
彼や映画部にとって、桐島がバレー部を辞めたことなんて全く関係の無いことです。
なのに巻き込まれてしまいます。

映画の終盤、様々な人間関係が絡み合いそれが一つの場所に集約されていきます。
そしてその結果、異なるグループ同士の対立がその場所で発生していきます。
異なる場所で生きる学生同士が分かり合うというのは、
必ずしも出来ることではありません。なかなか難しいし、
歩み寄ることもしないものです。
しかし理解し合えないからといったって、
土足で他のグループの領域に入るような行動は決して許されることではないでしょう。
お互いに事情があることは観ている私達は知っていますが、前田達映画部は知らない。

映画部が怒って当然のことを、バレー部の面々がやってしまうのです。
作品の中でバレー部、特に副キャプテンは私が苦手な方の体育会系的臭いが
プンプンしていて正直どうも好きになれませんでした
(部員の一人、小泉は全然マシですけどね)。
そいつが映画部にとってとんでもないことをやらかした瞬間は
もう「断罪すべき」と確信しましたよ(何様なんだって話ですが)。
ですから映画部が「映画撮影」という方法でバレー部含めた
イケてる学生グループの面々に襲い掛かるシーンは最高でしたね。
前田の妄想によってゾンビ映画風に加工されているのも良かったです。

まぁ結果的に映画部の面々が、それでどうにかなるものではないんですけどね。
けどこの行動をきっかけとしてある学生が、
異なるグループの人間である前田へ歩み寄ります。
そして前田がそんな彼に影響を与えるのです。
巻き込まれていた側でイケてる感じからは全く遠い場所にいた前田が、
桐島の1番近いところにいた人間の心を変化させる。
よくある展開ではあるんですが、演出が良いので妙に感心してしまいました。
最後のスタッフロールのキャスト一覧でも、
細かいですが良い演出をしており目が離せません。
席は最後まで立たない方が良いです。主題歌『陽はまた昇る』も最高ですので。

欠点としては序盤ですかね。
最初に同じ日の同じ出来事を、様々な視点で何度もみせていくのでそこが少々ダレます。
この映画はこういう形で進行していきますよ、
こういう人達が出るんですよっていうことを分かりやすく紹介しているのだと思いますが。
でもここを乗り切ればあとはテンポ良く進んでいると思いますよ。

学生間の会話や部活動に色々口出してくる顧問など、
非常にリアルで高校生活における「あるある感」がとても強いです。
それと家族の話とか一切排して学生達だけの話にしたのも良かったですね。
良質な青春映画だと思います。興味のある方は是非どうぞ。


なんであんな子にあんな彼氏が……もっと良い人いるんじゃない……?
それもまたリアルか……。

桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)
(2012/04/20)
朝井 リョウ

商品詳細を見る

陽はまた昇る(初回限定盤)陽はまた昇る(初回限定盤)
(2012/08/08)
高橋優

商品詳細を見る

パーマネント野ばら [DVD]パーマネント野ばら [DVD]
(2011/01/07)
菅野美穂

商品詳細を見る
スポンサーサイト

comment

管理者にだけメッセージを送る

プロフィール

Author:ヤギメロ
映画とか本とか、色々好きな者だす。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード